限られた資源でも知財リスクの回避は可能?

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特許侵害予防調査の必要性

膨大な投資によって市場投入した新製品が、他社の特許を侵害していた場合、当該新製品に関する実施の差し止めや、損害賠償の支払いが必要となることがあり得ます。特に、実施の差し止め=事業の死を意味しますので、特にリソースの少ない中小企業にとっては致命傷となってしまうケースも少なくありません。

このようなことにならないように、 新製品の開発初期や市場投入の際に、特許侵害予防調査(パテントクリアランス)を行うことが重要です。特許侵害予防調査とは、自社が開発・販売しようとしている製品やサービスが、他社の有効な特許権を侵害していないかを事前に確認する調査のことです。

この調査を行うことで、製品の市場投入後に「特許侵害で訴えられる」といったリスクを未然に防ぐことができます。

中小企業における特許侵害予防の課題

近年では大企業や海外企業が地方の中小企業に対しても権利行使を行うケースが増えており、「うちは小さいから大丈夫」とは言えない状況になっています。万一、特許侵害で権利行使された場合は、上述の通り、事業の中止に追い込まれてしまうこともあり得ます。

その一方で、特許侵害予防を行うにあたって、中小企業には以下のような課題がある場合が多いです。

  • コストがかかる:包括的なクリアランスでは、膨大な工数又は数十万円〜数百万の費用が発生することも。
  • 専門知識の不足:特許文献の読み解きには技術と法律の両方の知識が必要。
  • 人材の不足:社内に知財担当者がいない、兼任で手が回らない。

特に中小企業では、資金的な制約から、やりたくてもできないケースが多くあることも事実かと思います。
また、特に都市部の大企業に比べて知財に関するリソースが圧倒的に不足しているのが現状です。

特許侵害予防への具体的な対応方法

調査範囲を絞ることでコストを抑える

侵害予防調査は、①技術や実施態様の整理、②検索式の作成、③母集団の抽出、④スクリーニング、⑤権利解析といったフェーズがありますが、抵触可能性のある特許を漏れなく把握するために、広く網羅的な検索式の作成~母集団を抽出することが一般的です。

これに対して、特にコスト的な観点から「調査範囲を絞る」という方法があります。
自社の製品・技術や実施態様を考慮して、より本質的な部分に絞って調査することで、調査コストを下げつつ重要度の高い(抵触可能性の高い)領域を重点的に調査するものです。例えば、以下のような項目が挙げられます。

 「技術」を絞る

  • 製品・技術の差別化要素や主要機能に関係する技術だけを対象にする。
    (例えば、ドローンの新型プロペラ設計 → プロペラ形状や素材に関する特許のみ調査する)
  • 既存製品と異なる部分だけを調査対象にする。
    (例えば、例:既存のスマートロックに「顔認証機能」を追加 → 顔認証技術に関する特許を中心に調査する)

「商流」、「プレイヤー」を絞る

  • 商流を考慮して、特に自社が属する分野の特許のみを対象にする。
    (例えば、自社が中間メーカーである場合、ベンダーや最終製品の特許は除外する)
  • そのうち、自社が競合すると想定される企業の特許のみを対象にする。

「国・地域」を絞る

  • 製品を販売している、または販売する可能性の高い国に絞って調査する。
    (例えば、現状日本国内のみで販売の場合は、日本の有効特許のみを対象にする)

実務上の工夫・分担をする

  • リソースに応じて侵害予防調査の各フェーズの実施担当を分担する。
    (例えば、検索式の作成と母集団の抽出のみを外部委託して、詳細なスクリーニングは自社内で実施する)

※調査範囲を絞ることは、網羅的な調査に比べてデメリットも当然あり、抵触可能性のある特許の見落としや、競合の動向を見逃しにつながることもあるので、自社の事業態様や将来予測も含めて、バランスのとれた調査が必要です。

地元弁理士への相談・依頼

専門的な知識を有する弁理士に相談することで、業界や技術に即した調査が可能になります。

特に地元の弁理士の場合、対面での打ち合わせが可能なため、技術のニュアンスや事業背景を伝えやすく、調査の精度が高まる傾向があります。その地元における補助金や支援制度の活用方法のアドバイスも可能な場合もあります。

都市部の大手事務所に比べて、中小企業向けの料金体系や柔軟な対応をしている弁理士も多く、初回相談は無料というケースもあります。

弊所でも、初回のご相談は無料で承っております。
お客様の製品・技術、事業の実施態様、懸案事項などを、まずはヒアリングさせていただき、ご依頼に応じて、特許侵害予防調査を行います。

以下のお問合せから、ぜひお気軽にご相談ください。

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