生成AIは、近年急速に発展している技術分野であり、それに伴って特許出願も増加しています。
本記事では、生成AIの概要と、特許出願状況について記載します。
生成AIとは
生成AIは、ディープラーニング技術を基盤とし、テキスト、画像、音声などのデータを生成する能力を持つAI技術です。それらの技術を用いて、チャットボットや画像生成モデルなどの開発が進んでいます。
以下、生成AIの仕組みと実用例を紹介します。
既に実用レベルである生成AIもリリースされており、作業効率の迅速化や新しいアイデアなどの創作補助として期待できます。一方で、学習元データやAIの生成物に関する著作権や、誤情報の拡散などの懸案事項もまだまだあります。
生成AIの仕組み
- データ学習
文章や画像などの大量のデータを使って学習して、データのパターンや構造を取り込みます。 - モデルトレーニング
学習したデータを使って、機械学習モデル;「入力→モデル→出力」をトレーニング/作成します。 - 新規コンテンツの生成
作成モデルによって、ユーザーからの入力(プロンプト)に基づいて新しいコンテンツの生成が可能となります。
生成AIの実用例
- テキスト生成
AIと対話することで、問題解決等に活用できるチャットボットや、文章作成AIなどがあります。 - 画像生成
任意の入力に基づいて、新しい絵画やデザインを生成することができます。 - 音声生成
任意の入力に基づいて、新しい楽曲やナレーションを生成することができます。
生成AIの応用分野
現状、生成AIは多くの分野で応答されています。(以下、例示)
- 製品開発:開発支援や、社内ナレッジ(ノウハウ)の共有に活用
- マーケティング:パーソナライズされた広告などの生成
- コンテンツビジネス:画像生成や、新しいデザイン創作支援に活用
生成AIの特許出願状況について
生成AIに関するIPC(国際特許分類)とキーワード
<条件1:IPC>
生成AIの特許出願状況について、IPC(国際特許分類)を用いてパテントマップを簡単にみてみます。
用いたIPCは以下の通りです。
- G06N:コンピュータシステムにおけるAI技術(主に「学習」)
・G06N 3/: ニューラルネットワーク
・G06N 5/: 知識ベースシステム
・G06N 7/: ファジィ論理
・G06N 20/:機械学習 - G06F: デジタルデータ処理
・G06F 16/: 情報検索、そのためのデータベース構造、ファイルシステム構造
・G06F 17/: データ処理システムや方法
・G06F 30/: 特定のアプリケーションにおけるデータ処理 - G06T: 画像データ処理または生成
・G06T 1/: 画像分析
・G06T 3/: 画像生成
<条件2:キーワード>
上記IPCに加えて、生成AIに関するキーワードとして以下のいずれかを全文中に含むものとしました。
ニューラルネットワーク(Neural Network)、トレーニングデータ(Training Data)、生成モデル(Generative Model)、自然言語処理(Natural Language Processing、又は NLP)、画像生成(Image Generation)
<条件3:出願国、出願日>
出願国:「日本」に出願があるファミリー
出願日:最新技術分野ということもあり、直近10年分としました(出願日:2014/10/10~)。
生成AIに関するパテントマップ
上記検索条件で出力したパテントマップを以下に示します。


●トップ出願人の総出願数(左):
CANON、NTT、富士通、NEC等、生成AIの活用をプレスリリースしている大企業
●トップ出願人のIPC(右):
主に生成AIそのもの(G06N、G06F、G06T)の開発している企業:NTT、富士通、NEC、日立…が見られる一方、
CANONは、G06T(画像処理)×H04N(画像通信技術)が多い=画像解析AIシステム、
富士フイルムは、G06T(画像処理)×A61B(診断、手術、個人識別)=画像診断AIシステムというように、具体的な用途に特化したAI開発がなされているということが一目で分かります。
(参照)
画像AI連携プラットフォーム Bind Vision | キヤノンITソリューションズ株式会社 Special Site (canon-its.co.jp)
富士フイルムと国立がん研究センター、MRI画像から希少がん領域を抽出するAI技術を共同開発 (aismiley.co.jp)
生成AIの今後について
上記の通り、企業や研究機関は、生成AIを活用した新しい製品やサービスの開発に注力しています
生成AIの技術は今後も進化し続け、それに伴い特許出願も増加していくことが予想されます。
生成AIの特許状況は、技術の進化とともに変化していきます。今後も注目していきたい分野です。
(この記事の作成も、少し生成AIに手助けしてもらってたりして…)