愛媛県の特許出願概況 パテントマップを使って

愛媛県の特許出願トレンド

愛媛県松山市で弁理士業を営んでいる末光と申します。
まずは自身の属する地域の特許状況を把握すべく、パテントマップを使ってその概況を調査してみました。

目次

パテントマップとは

特許は出願すると、原則一定期間経過後に公開され、誰でも見ることができるようになります。
特許を公開する法趣旨は以下2点です。

  • 新たな技術等を広める(発明を利用してもらいたい)
  • 重複研究や重複出願の防止(無駄なことはさせたくない)

特許公報には、技術的な内容以外にも、実施主体の情報や、時間の情報が含まれるため、「誰が、いつ、何を」やっているかが分かります。これは事業にとって非常に有益な情報であり、効率の良い研究開発のために事前に特許を調べることは重要なことです。

一方で、膨大な特許公報を全て読み込む訳にはいきませんので、確認したい技術領域をまずは俯瞰して、特に注力する技術を絞る必要があります。これを手助けしてくれるのがパテントマップ;特許情報を整理して視覚化したものです。

調査ツールと検索条件

パテントマップはMicrosoft Excel等の一般的な表計算ソフトでも作成することができますが、最近では検索条件を入力するだけで、出力される検索母集団を種々のグラフに変換できるツールが、分析メーカーから提供されています。

今回はその調査ツールとして、Orbit Intelligenceを用いました。
(Orbitのサイト) https://www.questel.com/ja/patent/ip-intelligence-software/orbit-intelligence/

検索条件は、シンプルに以下2点のみです。

  • 出願人(権利者): 本社住所が「愛媛県」であること
  • 期間: 直近10年以内の出願(2015/1/1以降の出願)

※今回は特に地元企業に注目するために上記としています。
 愛媛県全体の特許を確認するためには、発明者の住所を「愛媛県」とする必要がありますが、これはまたの機会に調査することにします。

愛媛県の特許出願概況

技術分類のトレンド

特許出願数のトレンド

出願数トレンドの縦棒グラフ
(法的状況で色分け)

1200~1300件/年で推移

・直近はやや減少傾向
 ※2022年以降は未公開分の影響含む

技術分類をみてみる

技術分類の色分けver.
※1件に複数の技術分類が付与される場合があるため縦軸が少し増加

・多い順:医療関連、特殊機器(特に農機)、製法、輸送機器、家具、化学工業、製紙、熱プロセス

・直近で全体的に出願数が減少傾向だが、特に医療、農機、輸送機器が減少

IPCで細かくみてみる

IPC;国際特許分類のヒートマップ
(IPCとは、特許庁が付与する非常に細分化された技術分類のこと)

・増加傾向にある技術が無いか?
G06Q;ビジネス関連発明(ICTを利用する発明)に明らかな増加傾向

※A01B;農林業土作業の農機、B65D;物品/材料の貯蔵等用の容器も増加傾向

出願人のトレンド

出願人別の出願数/技術分類

出願人ごとの合計出願数を横棒グラフ(技術分類で色分け)

上位5社の出願が全体の85%占める
(井関農機、ユニ・チャーム、大王製紙、三浦工業、PHC)

ユニ・チャーム、大王製紙は、医療関連;おむつ等で競合(どうすみ分けているのか気になる)

共同出願について

共願人の相関図を示しています。
(最小ノード;5件、最小リンク;1件)

・件数こそ多くないが、愛媛大学が地元企業と共同出願しており、地元に資する技術を研究している

まとめと今後調べてみたい点

愛媛県の特許出願概況として、以下点が挙げられます。

  • 出願数は1200~1300件/年で推移も、直近2年でやや減少傾向がみられる。
  • 上位5社;井関農機、ユニ・チャーム、大王製紙、三浦工業、PHCの出願が全体の85%を占める。
  • 出願の多い技術分野は、医療、農機、輸送機器、化学工業、製紙等であり、上位出願人の事業内容と整合する。
  • G06Q;ビジネス関連発明(ICTを利用する発明)に明らかな増加傾向がみられる。
  • 愛媛大学が地元企業と共同出願しており、地元に資する技術を研究している。

愛媛の地場産業を支える大企業の出願が大半ですが、中小企業の出願が少ないことが気になります。
この点について、中小企業や地元技術に関連深い愛媛大学の特許の詳細を確認したいところです。
次回は、近年のトレンドであり、かつ愛媛でも出願が増加しているICT関連発明について確認します。

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